今朝ニュースでクローン病に関する記事が発表されていたので、速攻でご紹介します!!
独立行政法人科学技術振興機構のホームページのプレスリリースで発表されていたのは表題の通り
『腸における炎症を抑える新しいメカニズムを発見-炎症性腸疾患の新たな治療法開発に期待-』
というものです!
だんだんとクローン病や潰瘍性大腸炎の謎が解き明かされていっているようですね!
さて、気になる発表された内容は一体どういったものなのでしょうか?
炎症を抑える新しいメカニズム
発表された内容を読んでみましたが、三回くらい読み返してようやく分かりかけの状態です(汗)
少し難しいですが原文を紹介致します。
JST 課題解決型基礎研究の一環として、慶應義塾大学 医学部の吉村 昭彦 教授らは、腸などの消化器における新たな免疫調節機構を解明しました。腸内には大腸菌などの腸内細菌が大量に存在しますが、それにもかかわらず炎症が起きないメカニズムは、これまで十分に解明されていませんでした。
本研究グループは今回、モデルマウスを用いて腸内における新しい炎症抑制システムを発見しました。
その本体はプロスタグランジンE2(PGE2)注1)と呼ばれる生理機能脂質で、マクロファージなどの免疫細胞に作用して炎症を強力に抑制します。
PGE2システムは、これまでに知られている抑制性T細胞(Treg)注2)による炎症抑制システムとは全く独立して存在することが分かりました。
自然免疫を担うマクロファージや樹状細胞注3)は、腸内細菌などの感染によってTNFαやインターロイキン12(IL-12)などの炎症性サイトカインと呼ばれるたんぱく質を放出することで炎症を誘導、促進しますが、PGE2は腸上皮で常に産生されていて、これらのサイトカインの産生を抑制していました。
しかし過大な感染や強い炎症時にはこの抑制システムが破綻するため、サイトカインシグナル抑制因子1(SOCS1:ソックス-ワン)注4)と言う遺伝子が防護していることも明らかになりました。
これらの発見は、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の発症機構の解明に貢献するもので、新たな治療法の開発につながるものと期待されます。
本研究成果は、2011年2月8日(英国時間)に英国オンライン科学雑誌「Nature Communications」で公開されます。
[元記事:http://www.jst.go.jp/pr/announce/20110209/]
との事です。
また研究の内容は以下の通り
本研究グループでは、腸内には炎症を抑制する物質が存在し、炎症時には抑制システムが破綻することを想定しました。樹状細胞をLPSで刺激すると炎症性サイトカインが大量に分泌されますが、腸上皮細胞培養液や腸抽出液(CME)にはこのサイトカイン産生を強力に抑制する物質が存在しており(図1A)、この物質がPGE2であると考えました。それを確かめるために、樹状細胞で主にPGE2と結合するたんぱく質であるEP4の阻害剤を用いたところ、腸抽出液のサイトカイン産生を抑制する能力はほぼ完全になくなりました。これらの結果から、腸由来のサイトカイン産生抑制分子はPGE2であると証明されました(図1B)。
さらにマウスの体内でも、腸炎抑制にPGE2が重要であることを示すために、Tregのないマウス(Rag2欠損マウス)にPGE2の産生を抑制する非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)注7)の一種インドメタシンを投与したところ、致死的な、極めて重篤な腸炎を発症しました(図2AB)。この腸炎は、抗生物質の投与により腸内細菌をなくすことで発症しなくなり(図2C)、PGE2受容体であるEP4の活性化剤の投与によって軽快しました(図2D)。これらの結果は、PGE2-EP4経路がマウス内でも、腸内細菌によって発症する腸炎の抑制に必要であることを証明しています。
一方、Tregの存在する野生型のマウスではインドメタシン投与によって腸炎を起こさないことから、TregはPGE2と独立して腸炎を抑制していると考えられました。そこで、Rag2欠損マウスにTregを移入してインドメタシンを投与したところ、PGE2の産生が低くてもインドメタシン腸炎は軽快しました(図3)。さらに、IL-10を欠損するTregにはこのような抑制効果は認められませんでした。よって、Tregによる炎症抑制はIL-10を介していること、またPGE2-EP4経路はTreg-IL-10経路とは独立して機能する抑制システムであることが生体内でも確認されました(図3)。
では、腸炎を発症する際はこの経路はどのように破綻されるのでしょうか?
本研究グループでは、腸炎には炎症性サイトカインの一種であるインターフェロンγ(IFNγ)が重要であることから、IFNγの作用を抑制するSOCS1という遺伝子に着目しました。Rag2欠損マウスでSOCS1遺伝子を働かなくすると、インドメタシン投与と非常によく似た腸炎を発症することから、SOCS1がPGE2-EP4経路の重要な調節因子であることが考えられました。試験管内の解析の結果、SOCS1がないとIFNγの炎症シグナルが過剰に活性化され、その結果PGE2による抑制効果が見られなくなることが分かりました(図4)。つまり、PGE2による抗炎症システムは炎症性サイトカインと常に拮抗状態にあり、炎症シグナルが強く入りすぎるとPGE2システムが抑制され、その結果炎症シグナルが勝るようになるために腸炎の発症が促進されるというメカニズムが明らかになりました(図5)。SOCS1は、この炎症と抗炎症のバランスを取っている遺伝子の1つと言えます。ちなみに、炎症性腸疾患患者が非ステロイド系抗炎症剤を服用すると腸内の炎症が悪化することが知られていますが、これは本研究で示されたようにNSAIDがPGE2の生成を妨害して、抗炎症システムを破壊してしまうことが原因であると考えられます。このように本研究成果は、炎症性腸疾患の発症機序の解明や治療法の開発につながるものと期待されます。
[元記事:http://www.jst.go.jp/pr/announce/20110209/]
分かりましたでしょうか?(^_^;)
元記事には図なども記載されていて分かりやすいと思うので、そちらを参照してみて下さい。
どういう事か?
難しく書いているので頭が混乱しそうになってきますが、記事中のまとめの部分が分かりやすかったので記載しておきます。
腸上皮細胞から産生されるPGE2とTregから産生されるIL-10は、腸内の樹状細胞やマクロファージに作用して、通常は腸内細菌の刺激による炎症性サイトカインを産生しないように抑制しむやみに腸炎が起こらないように調節している。
もし、菌が体内に侵入するなど強い刺激がきて炎症性サイトカインの産生が上昇したならば、特にNK細胞やT細胞からIFNγが産生されて炎症が促進される。
しかし通常は、SOCS1遺伝子が存在し、この破綻が壊滅的にならないように調整して重篤な腸炎は回避される。
SOCS1の機能低下や大量のIFNγによってPGE2防御システムは破綻し、重篤な腸炎へと進展する。
以上までをすさまじく簡単にまとめて言うと、現在までクローン病や潰瘍性大腸炎の発症メカニズムは分かっていませんでしたが、どうやらSOCS1という炎症を抑える遺伝子に異常が起きることにより、炎症作用にブレーキが効かなくなり腸に過剰な炎症反応が起きるということです(汗)省略しすぎかな(笑)
また分かりやすいように図でも作ろうと思います。
また作成したらアップします(たぶん…)
ともかく、今までクローン病や潰瘍性大腸炎の謎とされてきた発症原因が少しずつ明らかになってきたと言うことです。
恐らくまだまだ解決していない問題は山積みなのでしょうが、それでもこうやって日々原因究明に向けて研究が進んでいるんですね!
今後の展開
これらのことが原因だとするとどういった治療が出来るようになるのでしょうか?
本研究によって、個体には腸内細菌に対して炎症を防御するTregとPGE2という2つの防御システムが存在すること、どちらか一方でも存在すれば腸炎を抑制できることが明らかにされました。また、炎症性サイトカインIFNγの作用を抑制するSOCS1遺伝子は、炎症シグナルが過剰に入ってPGE2システムを破壊することを防いでいることも分かりました。
本研究成果より、PGE2システムを促進するEP4活性化剤は炎症性腸疾患に対して治療効果を持つことが期待できます。しかし炎症が激しい場合は、すでにPGE2-EP4のシステムが破綻しているためにEP4活性化剤の効果が少ない可能性があります。その場合は、SOCS1の機能を増強することでPGE2による抗炎症システムを再機能化させることも可能かもしれません。さらに、炎症性サイトカインがPGE2-EP4システムを破綻させるメカニズムや、PGE2-EP4システムがTLRシグナルを抑制するメカニズムを解明できれば、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患に対する新たな治療法が確立できるものと期待されます。
とのこと!
これからの研究に期待したいと思います☆
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(2月9日の食事と体重)
【 朝の食事 】エレンタール,団子 = 400kcal(脂質1g)
【 昼の食事 】会社の弁当 = 300kcal(脂質10g)
【 間食 】エレンタール = 300kcal(脂質0g)
【 夜の食事 】ご飯,コロッケ,味噌汁,エレンタール = 900kcal(脂質10g)
【 総摂取カロリー 】1900kcal(脂質21g)
【 体重(朝計測時)】52.0kg
【 体重(夜計測時)】52.8kg
【 腹痛 】なし
【 肛門痛 】なし
【 便の回数 】朝普通便
【 出血 】なし
【 体温 】午前:36.2度 午後:36.4度
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初めてまして。
非ステロイド性抗炎症薬(痛み止め、解熱薬)を飲んではいけない。ということですね。そこのところはとても重要だと感じて拝見しました。このような研究がもっと進めばいいですね。
>たす9さん
コメントありがとうございます☆
必ずしも
>非ステロイド性抗炎症薬(痛み止め、解熱薬)を飲んではいけない。
という訳ではないと思います。
文中ではインドメタシンとしか書いていないので、例えばロキソニンやボルタレンなどとは区別しているのかもしれません。
でも成分的には変わりないからどうなんだろうか…?
1度主治医に聞いてみるのが良さそうですね(汗)