こんにちは!kengorouです。
ここ一、二年でクローン病の方のブログや記事をWeb上で見かける機会が増えてきました。また知り合いと話をする中で「知り合いがクローン病だよ」という事を聞く事もあります。やはり年々クローン病は増加傾向にあるんだなーとつくづく実感する次第です。
さて、クローン病と診断されて次に待っているのは「どういった治療を行っていくか?」って事なんですが、これは病院や医師によって方針が異なってきます。クローン病の治療には様々な方法があります。治療法の詳細に付いては過去以下の通り書いていますので興味がある方は見てください★
このように色々な治療の選択肢がある中で、必ず耳にするのが現在主流?となっている治療法「抗TNFα抗体(レミケード・ヒュミラなど)」ではないでしょうか。おそらくクローン病の事を詳しく知っている医師であれば間違いなく提案してくると思います。症状がとても軽かったりする場合は勧められないかもしれませんが、クローン病は進行性の病気なので放っておくとドンドン悪くなっていくため、最初から「抗TNFα抗体(レミケード・ヒュミラなど)」を使用し炎症を押さえ込むという、トップダウン式の治療が標準的となっています。
この薬は非常に強力な効き目があり、苦しい症状が劇的に良くなります。「おぉー!そんなイイ薬があるなら受ける!受ける!」って思うでしょうが、「抗TNFα抗体(レミケード・ヒュミラなど)」を提案される際に副作用についての説明が必ず行われます。そこで衝撃的な言葉を効く事になります。それは
海外でレミケードの使用後に悪性リンパ腫が発生した事例がある
という内容です。
クローン病が原因で癌になる可能性
レミケードでクローン病の症状が治まるぜ!やったー!と思いきや、使うと癌になる可能性があると言われる訳です。すると最初は90%くらいやる気になっていたのが一気にテンションが下がり、やる気が50%以下にだだ下がりする訳です(笑)何を隠そう私もそのくちで、医師から提案された日にどうするか決める事が出来ませんでした。そしてしばらくは悶々と考える日が続きます。レミケードについても、癌に関する事も色々調べました。すると色んな事が分かってきます。例えば癌については日本消化器病学会が2010年に出しているクローン病ガイドブックによると以下のように書かれています。
なんと、クローン病患者は一般の人と比べると
大腸がんになる確率が2.5倍!!
さらに
小腸癌になる確率は33倍!!!!!
になるそうです(汗)こえー!!!マジこえー!!小腸癌については数字の確率で見るとものすごい事になっていますが、実際にはかなりまれな病気の為母数が小さい事が関係してきます。で、なんでこんなに癌になる確率が増えるのかというと、理由もちゃんと説明されています。
このように炎症を繰り返すことにより、その部位が癌化しやすくなるんですね。クローン病は口から肛門までの消化器官に炎症が現れる病気です。そして主に大腸や小腸に炎症がよく見られるためおのずと大腸癌と小腸癌の発生リスクが高まるという仕組みになっているんです。ですので、炎症を繰り返さない事がとても大事なんです。レミケードはこの炎症を取ってくれるので、大腸癌や小腸癌のリスクを減らしてくれると言えます。
レミケードの副作用が原因で癌になる可能性
実際にレミケードを使用してどんな事例があったのかちゃんとデータが出ていますので、そちらをご案内します。以下は田辺三菱製薬が出しているレミケードの製品情報です。
海外臨床試験後の悪性腫瘍発現頻度 本剤の臨床試験及び臨床試験終了後3年間又は5年間の追跡調査において、悪性リンパ腫、乳癌、黒色腫、扁平上皮癌、直腸腺癌、基底細胞癌及び皮膚癌等が169例に報告されている。本剤投与と悪性腫瘍発現の関連性を検討するため、実際に悪性腫瘍が認められた例数並びに大規模なデータベースから抽出した同一背景を有する一般集団からの予測例数を表1~3に示した。この予測例数は、症例毎の性、年齢、追跡期間等よりNIH SEERデータベース(National Institute of Health(NIH)Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)database)から推定した値を用いた。表1のクローン病患者での比較では、本剤投与群における悪性腫瘍の予測例数14.49例に対し観察例数は21例であった。一方、プラセボ群においては予測例数0.20例に対し観察例数は1例であった。(表1参照)
また、関節リウマチ患者での悪性腫瘍の観察例数及び予測例数を表2に示した。本剤投与群では予測例数52.37例に対し観察例数は50例、プラセボ群では、予測例数13.61例に対し観察例数は10例であった。(表2参照)
また、全臨床試験における悪性腫瘍の観察例数及び予測例数を表3に示した。本剤投与群の予測例数105.18例に対し観察例数は106例、プラセボ群では予測例数19.46例に対して観察例数が15例であった。(表3参照)表1.クローン病全試験での悪性腫瘍の観察例数及び予測例数
クローン病全試験*a 全例追跡期間(人・年)
プラセボ投与例悪性腫瘍観察例数
プラセボ投与例悪性腫瘍予測例数
プラセボ投与例全例追跡期間(人・年)
レミケード投与例悪性腫瘍観察例数
レミケード投与例悪性腫瘍予測例数
レミケード投与例a.悪性リンパ腫 97 0 0.01 4094 2 0.65 b.非黒色腫性皮膚癌 96 1 NA 4085 8 NA c.上記以外の悪性腫瘍 96 1 0.19 4055 19 13.85 悪性腫瘍計(a+c)*b 96 1 0.20 4055 21 14.49 *a:既に終了したクローン病試験の試験期間中及び3年間の長期安全性追跡調査での発現例数を集計
*b:NIH SEER databaseに含まれていない非黒色腫性皮膚癌については除外表2.関節リウマチ全試験での悪性腫瘍の観察例数及び予測例数
関節リウマチ全試験*a 全例追跡期間(人・年)
プラセボ投与例悪性腫瘍観察例数
プラセボ投与例悪性腫瘍予測例数
プラセボ投与例全例追跡期間(人・年)
レミケード投与例悪性腫瘍観察例数
レミケード投与例悪性腫瘍予測例数
レミケード投与例a.悪性リンパ腫 1626 0 0.46 6391 9 1.79 b.非黒色腫性皮膚癌 1611 6 NA 6357 24 NA c.上記以外の悪性腫瘍 1604 10 13.16 6343 41 50.80 悪性腫瘍計(a+c)*b 1604 10 13.61 6331 50 52.37 *a:既に終了した関節リウマチ試験の試験期間中及び3年間又は5年間の長期安全性追跡調査での発現例数を集計
*b:NIH SEER databaseに含まれていない非黒色腫性皮膚癌については除外表3.全試験での悪性腫瘍の観察例数及び予測例数
全試験*a 全例追跡期間(人・年)
プラセボ投与例悪性腫瘍観察例数
プラセボ投与例悪性腫瘍予測例数
プラセボ投与例全例追跡期間(人・年)
レミケード投与例悪性腫瘍観察例数
レミケード投与例悪性腫瘍予測例数
レミケード投与例a.悪性リンパ腫 2906 1 0.72 17852 14 4.13 b.非黒色腫性皮膚癌 2887 12 NA 17721 67 NA c.上記以外の悪性腫瘍 2877 14 18.75 17720 92 101.30 悪性腫瘍計(a+c)*b 2877 15 19.46 17707 106 105.18 *a:既に終了した試験の試験期間中及び3年間又は5年間の長期安全性追跡調査での発現例数を集計
*b:NIH SEER databaseに含まれていない非黒色腫性皮膚癌については除外
と引用が長くなってしまいましたが、2015年の報告によると169例の癌発生という報告が上がってきています。どうでしょうか。こんなにも癌が発生しているのか!と思うでしょうか??それとも、え?たったこれだけ?と思うでしょうか。捉え方は人それぞれだと思いますが、私は後者でした。クローンフロンティアが出している情報によると
日本を含め世界80ヵ国以上で発売され、約84万人の患者さんに使用されています(2006年10月現在)。
と記載されていました。私が調べたところすでに2007年の時点で100万人以上に使用されているというデーターが同じく田辺三菱製薬からプレスリリース(PDF)が出ておりました。このデータから単純に計算すると1,000,000分の169ですのでレミケードによって癌になるかもしれない確率は0.0169%となります。え?超低くね??2016年でレミケードの使用者数はもっと増えているだろうからこの確率はもっと小さくなるはずです。この確率は交通事故にあう確率より断然に低い。さらに付け加えると、レミケードの使用が原因で癌になったという因果関係はまだ確立されていないので、たまたま癌になったかもしれない数もふくまれている可能性があるのです。ただし、この確率は厳密なデーターではないので完全に正しいものでは無いという事をご承知下さい!!(汗)
つまり、私が考える結論としては
レミケードによって癌が発生するかもしれない可能性は極めて低い。
という事です。
小さな確率よりも大きな可能性
上記で述べてきた理由から私はレミケードを受ける事を決意し、8週に一度レミケードを受けています。そのかいもあってか、現在4人の子供をもち、毎日仕事が出来る生活を送ることができています。レミケードを受ける前は、痔瘻を繰り返し、毎日激痛と戦う日々でした。腹痛、下痢、倦怠感、微熱と襲い来るクローン病の症状に心が折れかけていました。1日20回以上の下痢、高熱、嘔吐、腹痛に襲われ、体重が42キロ(だったかな?)になったときは本当に死ぬかと思いましたし、未来に希望が見えませんでした。しかし、レミケードを受ける事で、そんな状態がいっぺんに解消してしまった訳です。
現在レミケードを受けようか迷っている人が沢山いると思います。確かにレミケードは新しい薬ですのでこれからどんな副作用が出てくるのか分かりませんし、上記であげた癌化するリスクも低いとは言えゼロだとは言い切れません。ですが、私は起こってもいない小さな確率を気にして、今現在という貴重な一瞬を無駄にはしたくないなと思うのです。癌にはなる時にはなる。人間死ぬときは死ぬんです。ですので何も調べずにただ漠然とした気持ちで「レミケードは絶対イヤ!」と言わずに治療法の一つの選択肢として検討してみてはどうでしょうか。今の苦痛が改善される事で、未来への夢や希望を持てるようになるかもしれませんよ。
って事で、レミケードを使わずともクローン病の原因が解明して特効薬が出来る事を祈りつつ、今日も肛門の痛さと格闘します(笑)
あと完全に余談ですが、クローン病で脂質を気にしている方は以下の本が分かりやすくてオススメです☆脂質の情報に特化した本だから日々の料理などにも参考になります!私も一冊持っております。内容はこちらの記事にて紹介しています★
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